手足口病は、特に保育園や幼稚園などの乳幼児が集団生活を送る場で流行しやすい感染症です。この集団感染の背景には、手足口病の原因となるウイルスの多様性とその免疫の特性が深く関わっています。集団での感染拡大を防ぎ、子どもたちの健康を守るためには、個人の免疫獲得状況だけに頼るのではなく、集団全体での対策が不可欠です。集団生活の場では、多くの子どもたちが様々な型のエンテロウイルスにさらされる機会があります。子どもたちはそれぞれ異なる型のウイルスに感染し、その型に対する免疫を獲得しますが、他の型には免疫がないため、次々と異なる型に感染し、手足口病を繰り返すことが珍しくありません。これにより、常にどこかでウイルスが排出され続け、流行が継続しやすい状況が生まれます。このような状況下で、感染拡大を抑制するための集団での対策は、主に「徹底した衛生管理」「早期発見と隔離」「適切な情報共有」の三つに集約されます。まず、「徹底した衛生管理」は最も基本であり、最も重要です。保育園や幼稚園では、子どもたちに手洗いの習慣を徹底させることが不可欠です。食事の前、トイレの後、外遊びから戻った後など、こまめな手洗いを促しましょう。職員も、子どものおむつ交換後や食事の介助後には、必ず念入りな手洗いと手指消毒を行うべきです。また、子どもたちが日常的に触れるおもちゃ、ドアノブ、テーブル、手すりなどは、定期的に消毒するようにしましょう。手足口病の原因ウイルスはアルコール消毒が効きにくい種類もあるため、次亜塩素酸ナトリウムを含む消毒液の使用が推奨されます。次に、「早期発見と隔離」も感染拡大防止に繋がります。もし子どもに発熱や手足口の発疹など、手足口病の症状が見られた場合は、速やかに保護者に連絡し、医療機関の受診を促し、自宅での安静を指示することが大切です。症状が完全に治まるまでは、登園・登校を控えてもらい、他の子どもへの感染を防ぎましょう。
手足口病の流行と免疫!集団での対策